Lio Aoyagi
なんば駅
ハンバーグ
古くから演芸の街として栄えた大阪は難波の横丁を曲がった所にひっそりとお店はあります。東京の下町で育った私には浅草に似て、懐かしく感じさせてくれるお店です。 大きなテーブルの片隅に座り、相席となった老紳士と目が合い、軽く会釈。 なんか良いぞ… 細長い店舗の奥、カウンター越しにフライパンを操る調理人の無口な背中が覗け、次々とカウンターに置かれるお皿をホールのお姉さん方が、テキパキとテーブルに運んでいきます。 洋食のお手本のような盛り付けを眺めながら「次はどれを食べよう…」と考えていると、間もなく目の前に料理が並べられました。 お金を出せばいくらでもブランド肉が食べられる時代にあって、こちらのビフテキは洋食屋というものをわきまえたクオリティながら、充分過ぎるコスパと言って良いでしょう。私は断然こちらをチョイスします。 お店の作り、清潔さ、厨房から届く心地よい良い音と香り、テキパキと動くお姉さん方の動き、全て含めここでしか味わえない世界です。 老舗とはいえ頑なにに“創業当時”を守るのではなく、その時代時代の求めに応じ、しなやかに調理方法を変えるなど、良いところ取りの姿勢は、金髪の若者も列に並んでいることからも、充分に感じ取れます。 殆どのお客が「ご馳走さま!ありがとう!」と笑顔でお礼を述べ、子供には飴ちゃんを選ばせる、そんなこんながとても自然で温かい。 「ありがとう」の街、大阪難波。 良い街です。 写真は不粋なのでなしです。 ご自身の目と耳と舌でお確かめください。