Masaya Onuki

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気に入ったお店に通い詰める傾向があるため、訪問したお店の件数はそれほど多くありません。「映え」より「美味い」を求めます。ひとりでも気軽に入れそうなお店を中心に投稿中。2013年4月~。 【出没エリア】八王子、立川、吉祥寺 【好きなもの】作り手のこだわりが感じられるもの

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好きなジャンル

  • フレンチ
  • 和食
  • ステーキ
  • 寿司
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代々木上原駅

フランス料理

愛のある食卓。 代々木上原駅東口を出て、右手の坂道を上ると見えてくる満席の店内。予約名を告げ、案内された席に着くと、そこからは活気ある厨房でリズムよくお料理が仕上げられていく様子が見える。 シェフが手掛けるお料理は、素材の味を活かした驚くほどシンプルな一皿もあれば、複数の味覚を刺激するような複雑な味わいを構成している一皿もある。ただ、どの一皿も次の一皿の布石になるように緻密な設計がなされており、食べ手はまるで「文脈」のある長編小説を読んでいるかのようなワクワク感を味わうことができる。 完成したお料理は、ホールのセルヴーズへ渡され、各テーブルへと運ばれて行く。目を輝かせながら自信を持って語られる彼女の説明からは、シェフが作り出す料理への愛情が感じられ、緊張した食べ手の心を解していく。 お料理に合わせて、ソムリエが飲み物を運んでくる。シェフが作り出す世界観に優しく寄り添っていたかと思えば、視界ががらりと変わるような感動的なマリアージュを見せてくれることもある。痒いところに手が届くような適切なコメントを添えて、いとも簡単に食べ手の心を奪っていく。 さらにこの店には、いまやメディアに引張蛸の名物オーナーシェフがいる。多忙につきお店で彼の姿を見ることは減ったが、誰よりも料理を愛し、誰よりも食べ手を幸せにしようと努力を重ねているのは、誰の目にも明らかで、そのスタンスは揺るがない。そうは言っても、やっぱりたまには、ホールでゲラゲラ笑いながら、料理愛について語ってほしい。 2022年6月のメニュー ◆トマトの冷製スープ 水を使い、ドライトマトからエキスを抽出したクリアなスープに、鰹節の風味を纏わせたもの。上にはオリーブオイルを数滴。和風テイスト。 ◆馬肉のタルタル こちらのspécialité。カリカリの自家製ラスク生地に、馬肉のタルタルとビーツのマリネを乗せたもの。香り付けには食欲をそそるクミンを。 ◆烏賊墨のチヂミ 烏賊墨を使ったチヂミは真っ黒。チヂミの中にも具として烏賊が使われる。外はカリカリ、中はフワッと。オクラが敷き詰められたチヂミの表情も美しい。コクのあるチヂミには、オイスターソースとバルサミコ酢を使った甘酸っぱいソースが良く合う。 ◆帆立貝とアスパラガスのサラダ仕立て 温と冷、二つの温度帯に仕立てた野菜を一つのお皿に盛り込んだ一品。根セロリのピュレの上に、ソテーした帆立貝とアスパラガスの温かいパーツを乗せ、さらに、スナップエンドウ、キウイフルーツ、リーフレタスなどの冷野菜で飾る。塩味には自家製ビーフジャーキーを、帆立貝に合わせるようにクラムチャウダーの泡を乗せる。複数の味が口の中で重なり合い、多幸感をもたらす。 ◆じゃがいものニョッキ 軟らかく、もっちりした食感。口溶け滑らかで、咀嚼しているうちにじゃがいもの香りを残して溶けていく。ホワイトアスパラガスは瑞々しく、食べ応えもある。白味噌を使ったソースが絡み、まろやかな仕上がりやまつ辻田さんの柚七味が良いアクセントになっている。 ◆金目鯛のポワレ 金目鯛は、旨味を携えたしっとりとした身質に、パリパリした食感の皮目。胡麻油が香る、蛤出汁の利いた中華粥をソースとして合わせるという発想。味わいは穏やかだが、口に入れたときに感じられるインパクトは大きい。 ◆大山どりのロティ 大山どりモモ肉のロティ、砂肝のコンフィ、レバーペーストを盛り付けた、焼鳥をイメージした良いとこ取りの一皿。マルサラワインとフォン・ド・ボーを合わせた、焼鳥のタレを思わせる甘じょっぱいソースがよく合う。付け合わせにはピーマンと辣韭の酢漬けを。 ◆鶏ブロードのリゾット 穏やかだが濃厚。食感のアクセントには刻んだセロリを。やまつ辻田さんの山椒がふりかけられ、香りと味わいにメリハリが生まれる。 ◆蛤のボンゴレ・ビアンコ プリプリの蛤を使ったボンゴレ・ビアンコ。乳化した蛤の出汁が太めのスパゲッティによく絡む。 ◆アヴァン・デセール ライチのパンナコッタに、ほろ苦いグレープフルーツの果肉と抹茶のグラニテを合わせた清涼感あるデセール。 ◆グラン・デセール 白カビチーズであるブリア・サヴァランと練乳を使った、定番のアイスクリーム。出来立てのため、口溶けは滑らか。コク深さの中にほんのり酸味があり、濃厚な味わいでありながら後味は爽やか。 #フランス料理 #イタリア料理

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有楽町駅

フランス料理

旬野菜が織り成す優しい味わい。 2019年、目黒にあったビストロ「モルソー」が、開業10周年を期に、東京ミッドタウン日比谷に移転した。モルソーといえば、いまやメディアに引っ張り凧の秋元さくらシェフが手掛けるレストランとして知られているが、旬の食材で作られる優しい味わいは、どこかホッとする家庭料理を連想させる。 2022年2月。世界中で猛威を振るう流行病により、街を行き交うひとはまばら、飲食店は21時まで (酒類の提供は20時まで) の時短営業を強いられ、19時過ぎの入店を希望する我々を受け入れてくれる飲食店はほとんどなかった。東京ミッドタウン日比谷も例外ではなかったが、19時30分からの90分という条件付きで予約を受けていただいた。 Dinner Menu A @7,695円(税込) ・本日のアミューズ ・とうもろこしのムース 北海道産生うに ・寒ぶりのグリル マセドワンヌサラダと根菜  黄柚子の香り ・モルソー畑の彩り有機野菜のサラダと  蜜いものロースト ・ふんわり雪チーズオムレツ  ポルチーニ香るシャンピニオンソース ・熟成牛と松阪豚のハンバーグ フォアグラのソテー ・名物ひとくちカレー ・栗香るティラミス ・カフェ 時間の制約もあり、品数が少ない Dinner Menu A にひとくちカレーを追加させていただいた。 原材料の高騰が続く中、フランス料理のランチコースを税込5,000円以下、ディナーコースを税込8,000円以下の金額で提供するというのは、ものすごく大変なことだと感じる。客単価20,000円を超えるような高級レストランとは比較することはできないが、限られた予算の中で美味しいフランス料理を頂きたい場合には、選択肢のひとつとして入ってくるのではなかろうか。 #フランス料理

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日暮里駅

もんじゃ焼き

みんなでワイワイ楽しむ下町の名店。 【店への行き方】 JR日暮里駅、北改札口を出て、西口に進む。道沿いを直進、「夕やけだんだん」の階段を下りて、最初の十字路を右折。20メートルほど進んだ右手に見える、緑色の庇が出ている建物の一階。看板などはなく、扉に貼られた「もんじゃ大木屋」「予約制」の千社札が目印。 【予約方法】 電話にて予約。原則、各組5~8名での予約のみ受け付け。現在、コロナ禍につき、その限りではない様子。お店と要相談。 【お品書き】 基本的にはコースのみ、大木もんじゃのみ+1500円で追加可能。コース料金は以下のとおり。人数が増えるほど、ひとりあたりの金額は安くなる。  5名 25850円  6名 26950円  7名 29920円  8名 31020円 ●鰹のたたき ●肉のエアーズロック ●帆立貝の鉄板焼き ●メンチカツ ●大木もんじゃ 肉のエアーズロック以外、鉄板上の調理は、お店の方から教えていただいたとおりに、すべて自分たちで行う必要がある。飲み物は、店内の冷蔵庫から自分たちで取りに行くセルフ方式。ほとんどが瓶物であり、空いた瓶をビールケースに戻し、食後にまとめて精算する。現金精算のみ。 【感想】 自分で鉄板上の調理を行ったり、飲み物を取りに行ったりする必要があるため、それを楽しめるなら良いが、やらされていると感じてしまうと評価は下がるだろう。気合いを入れて美味しいものを食べに行くというよりかは、気の合う仲間とワイワイ楽しむという使い方が向いている。 【系列店】 大木屋 匠 COREDO室町店 @三越前 #もんじゃ焼き

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四谷三丁目駅

割烹・小料理屋

新進気鋭の蕎麦割烹。 新宿区荒木町。気の利いた飲食店が数多く立ち並ぶこの町に、2020年5月、コロナ禍にありながら、彗星の如く現れた蕎麦割烹が「車力門 おの澤」である。 新宿通りから車力門通りを下ると、右手に見えてくる木目調の外装の白い暖簾。店内には、白木のL字カウンターが美しい落ち着いた空間が広がっており、旬の食材の持ち味を上手く活かした美味しい料理を頂くことができる。 大将の小野澤誠氏は、骨無し秋刀魚の塩焼き(秋刀魚を背開きにして骨をすべて取り除き、掃除した内臓を戻して、炭火でじっくり焼き上げたもの)で知られる「銀座 矢部」出身。もちろんコースの〆はご飯ではなく大将の手打ち蕎麦だし、こちらでも秋になると骨無し秋刀魚を頂ける。 高級食材をふんだんに使った流行りのギラつき感はないが、優しい味のお料理だけでなく、スタッフの皆様の人柄やお店の雰囲気まで引っ括めて、おすすめできるお店である。 2021年1月中旬の献立。 ◆加賀蓮根の蓮根饅頭 温かい蓮根饅頭のお皿から。蓮根の素揚げが乗った蓮根饅頭は、もちっ、とろっとした食感が心地好く、非常に美味い。旨味の強い原木椎茸がたっぷりと入った出汁には葛餡でとろみが付けられ、熱々で頂ける。 ◆唐墨の飯蒸し お凌ぎとして、熟成させた自家製唐墨を乗せた飯蒸しを。熟成させることで生唐墨のとろっとした雰囲気がなくなり、奈良漬けに似た酒粕のような芳醇な香りが楽しめる。 ◆鱈白子と海老芋のお椀 とろとろとした食感の鱈の白子を使ったシンプルなお椀。外膜がプチっと弾けると、クリームのような熱々のとろみが口内に流れ出す。白子と一緒に浮かぶのは、出汁で炊いた海老芋と青みが美しい蔓菜だ。 ◆鮪赤身のお造り 大間。仲卸はやま幸。黄身醤油で頂く。脂が乗った冬の鮪は、ねっとりとして濃厚な味わい。鮨屋でもないのに、この質の鮪を頂けるとは、と思わず感心。こっそり白飯を出していただき、小さな鮪丼にしても楽しめた。 ◆出汁巻き玉子 頻繁に訪れる私に対する大将の気遣い。あつあつ、ふわふわな出汁巻き玉子を一本分、出していただく。表面から立ち上る美味そうな湯気が食欲をそそる。 ◆甘鯛の塩焼き 脂が乗った甘鯛の塩焼きを大根おろしと一緒に。外側を香ばしく焼き上げ、内側をふわふわに仕上げる絶妙な火入れ。適度に水分が抜け、魚の旨味が濃い。添えられた河豚の白子も口に入れるととろとろと流動化していき、驚くほど美味い。 ◆真鯛の兜煮 煮物には巨大な真鯛の兜を。骨の周りについた身をほぐしていくと、しっとりとした食感の身がたくさん頂ける。醤油を使った甘辛い煮汁には鯛の旨味が溶け出しており、その甘じょっぱさは白米が進みそうな味わいだ。 ◆河豚の唐揚げ 拳大の河豚の唐揚げにかぶりつく。ハフハフ言いながら、骨から身を外していく。肉を思わせる食感だが、脂のくどさがなく、非常に美味い。コラーゲンでベタベタした指先をしゃぶりながら豪快に頂くのが、河豚の唐揚げの醍醐味だ。 ◆トロたく巻き 鮪の仲卸はやま幸。一流の寿司屋に引けを取らない美味さに評判が良すぎて、献立から外せなくなってしまったという。鮪の突先の部分をたっぷりと使っており、口の中に入れた途端に溶けて形を失う。ここでしか登場しない酢飯とのバランスが良いからなのか、口当たりが軽く、いくらでも食べられるかのような錯覚に陥る。 〆は大将の手打ち十割蕎麦だ。温・冷、合わせて3~4種類ほどの蕎麦が用意されており、2種類までは同一料金で頂くことができる(それ以上は別途追加料金がかかる)ので、大将と相談しながら決めると良いだろう。大将の手打ち蕎麦は、口当たりの滑らかさが絶妙で、噛み締めたときに感じられる蕎麦の甘味や香りの立ち方も申し分ない。ざるに盛られた冷やし蕎麦を食べれば、その美味さがわかるはずだ。 ◆とろろ蕎麦 ◆かき玉(牡蠣玉)蕎麦 ◆苺のゼリー寄せ 食後にふさわしい穏やかな甘さ。果物の瑞々しさと香りの良いゼリーにより食後感もすっきり。 #日本料理 #割烹

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表参道駅

ステーキ

約束された感動体験。 2021年10月、北青山ののあおやま民活棟の二階に、sio株式会社が手掛ける新店「Hotel’s」がオープンした。「架空のホテルのレストラン」をコンセプトに掲げたsioの集大成とも言えるお店で、朝・昼・夜、どの時間にお店を訪れても異なるメニューの食事を楽しむことができるのが最大の魅力だ。 温かく迎えられ、薪窯がよく見えるカウンター席に通していただく。座り心地の良いマルニ木工の椅子で寛いでいるところに、バスローブ並みにフカフカなIKEUCHI ORGANICのおしぼりが届けられる。さらに、お料理が盛り付けられるのはLa Maison de Ventのターコイズブルーの鮮やかな器で、ディナーのスペシャリテは薪火で焼いたステーキときているのだから、期待値が高まらないわけがない。 ● アボカドのスモーブロー カリカリのラスクの上には良質なアボカドのスライスとアンチョビが乗る。味の決め手は「ふつうのマヨネーズ」だ。塩味と酸味が抑えられたマヨネーズの、柔らかな甘味と滑らかな質感がアボカドとよく合うのだろう。飲み込む寸前に旨味のピークがやってくるように感じる。 ● 牡蠣とサワークリーム、ライムのグラニテ キンキンに冷えたお皿に置かれた牡蠣。小粒だが旨味が強い。サワークリームとライムのグラニテによる酸味により後味は爽やか。 ● 鳩と雑穀米 神皿。一面を覆うトレビスの下には、絶妙な火入れの鳩と雑穀米が隠されている。鳩の旨味、黒無花果の甘味、雑穀米の甘味と食感、オリーブのコク、トレビスの苦味。様々なパーツが複雑な味わいを作り出していながら、ひとつの味に収束していく様は、sioらしさを感じさせる。 ● ムール貝とカボチャのラビオリ 神皿。「鳩と雑穀米」と同様に複数の味を重ねた一皿だが、甘味を中心とした複数の味わいが舌の上でグラデーションとなって広がりながら味蕾を刺激していくというアプローチ。味の広がりを楽しめる一皿。モッチリとしたラビオリは文句なしに美味い。 ● 鰆と蕪のピュレ ふっくらと軟らかな鰆に、穏やかな味わいの蕪のピュレを合わせたシンプルな一皿。複数な味わいから一転、わかりやすく誰もが美味しいと感じられるような仕上がり。 ● 薪火焼きステーキ 現在、通常のコースでは仔羊が味わえるが、オプションで仔羊を北海道産いけだ牛のヒレ、サーロインに変更することも可能だ。 ・仔羊 熱々の皿で提供される仔羊を一口頂いてみて、衝撃を受ける。ナイフを入れると溢れ出す肉汁。肉の脂の旨味と芳醇な香り。薪の火力がいかにすごいものかを身をもって体感できる。 ・北海道産いけだ牛のヒレ(追加) こんがりと焼き目が付いた表面は香ばしく、軟らかい中心部は肉の味が濃く、香りが良い。いままで食べてきたステーキは何だったのかと思えるほど、感動した。 ● 神戸牛のスライダー スライダーはアメリカ発のミニサイズのハンバーガーだ。喉を滑り落ちる(slide)くらい小さい、というのが名前の由来だ。神戸牛の塊肉を粗めに刻み、小さなバンズに挟み込む。適度な噛み応えが残された肉肉しいパティには、生姜焼きを思わせるあまじょっぱい味付けがなされ、一緒に挟み込まれたマヨネーズと粒マスタードとも最高の相性の良さを見せる。 ● ハンバーガー(追加) スライダーのあまりの美味さに、ランチメニューのハンバーガーを追加。スライダーよりも大降りなサイズ感とたっぷりの濃厚チーズが、さらに美味さに拍車をかける。是非、ランチでも訪問したい。 ● ホテルズサラダ 濃厚なハンバーガーの後は、アンディーブとグレープフルーツのサラダ。香り付けにはディルを。瑞々しいアンディーブの水分で口の中をスッキリさせ、グレープフルーツのほろ苦さで味覚を中和するような感覚か。 ● デザート 最後はマジョラムが利いたミルクのアイスクリーム。空気をたっぷり含んだ滑らかな口溶け。 北青山に、また一軒、素敵なレストランが誕生した。早く誰かとこの感動体験を共有したい。 #フランス料理 #イタリア料理