村上隆

～横浜の美しいイタリアン～ 横浜のはずれの川沿いに幻想的な灯りが浮かぶイタリアンのお店がある。オ・プレチェネッラだ。 白い壁に囲まれたゆったりした空間はくつろげて、特に夜は美しい。 アラカルトで頼もうとすると、四種類のパスタのサンプルをテーブルに置いてくれて、買い物をするみたいに楽しく料理を選べる。お店の方のガイドも料理選びを楽しませてくれる。 生ウニとホタテのスパッツュレ、ヤリイカの黒墨リゾット、パセリを練り込んだトレネッラ、真鯛のクレビネット包み焼き、フォアグラとウズラのガルムソースを優雅にいただいた。 最後は散歩したくなるような気分でお店を後にした。

～女性に招かれたようなイタリアン～ イタリアンの中でもカーザヴィニタリアは女性的だ。 バーニャカウダーで始まり、ポーションもそこそこ、席間隔がフレンチ並みに広く、観葉植物もたっぷり飾られている。 そんな中、やっぱり自分もバーニャを摘まみながら、ワイン片手に、穴子のフリット、蟹のリゾピラフ、豚の中でも一番のお気に入りの金華豚をローストでいただいた。ただし、金華豚は平牧の豚カツのほうが好きだ。 女性的な雰囲気のイタリアンで、最後の客になり、いつまでもお喋りを楽しんだことは、こっそりお詫びする。

～フレンチ界の夢の国～ ラグジュアリーなのにアットホームで暖かい。 執事に迎えられてドアを開けば、優美な世界が広がる。緩やかな曲線を描く階段を降りると、天高で円形の空間の中央の席に導かれる。美しい器やシルバーもまぶしく、幻想的な雰囲気に包まれる。 料理はアマデウスのオーケストラだ。メルヘンなアミューズから始まり、2品目のムース状のコーンスープはウニが隠れていて濃厚。鴨フォアグラのコンフィは驚くほど軽やか、ラングスティーヌのポアレはハーブが効いたソースでアジアンテイスト。キャビアのせの甘鯛のヴァブール、仔牛のロティでクライマックスを迎えたかと思えば、雛壇になったワゴンで、何十種類ものデセールを選んで楽しむ。ワゴンはチーズ、菓子、と続く。 その間ずっとお店の方の微笑みとホスピタリティの伴奏に支えられて、とろけそうな身体とともに優雅で暖かい気分に。豊かな音と調和のアマデウスのオーケストラ。 たとえ未来が変わっても、いつまでも大切にしたい夢のようなひとときだった。

～まるで贅沢な遊び人みたいな居酒屋～ カドワキの近隣にあるオシャレな居酒屋。居酒屋の中でもここまで贅沢に遊んでいる居酒屋は少ない。 自分もカンウターに座り、隣にいる素敵な方を気にしながらも、贅沢なメニューで遊んだ。 トリュフをのせたカルパッチョは意外に相性がいい。キャビアと、ウニと、いくらのおちょこ丼は彩り豊かでかわいい。たまごかけごはんは、これでもかと生トリュフを削る。最後はフォアグラごはんでお腹いっぱい。 贅沢にメニューで遊んだ夜には、紳士的にお連れさまを見送り、麻布十番を後にした。